【恋愛×サスペンスホラー】イケメン年下後輩くんは、私の耳を溺愛する
 どうしよう……。
 私はとっさにスマホのカメラを自撮りモードにして、後ろを撮影する。

 カシャ!
 音がした直後、走り去る音が聞こえた。
 振り返ると、スーツの男性が走っていくのが見えた。

 やっぱり尾行?
 私は早足でアパートに逃げ帰る。

 どうしよう。警察に行くべき?
 だけど、あとをつけられている証拠はない。カメラで撮影した画像はブレブレで、なんの役にも立たなさそう。

 私の頭には、どうしても斗真くんが浮かんでしまう。
 頼っていいのかな。こんな頼りない姿を見せてもいいのかな。

 思った直後、スマホが鳴って、私はびくっと震えた。
 画面には『伊原斗真』の文字。
 私はとびつくように通話ボタンを押した。

『唯楓さんですか? もう帰ったころかなって電話しちゃいました』
「斗真くん……」

『その声……なにかあったんですね』
 明るかった声が、真剣な声音に変わる。

 私は我慢しきれなくて、さきほどあったことを話した。背格好が昨日と同じだったから、きっと同じ人だっていうことも。

『やっぱり、しばらく俺の家に来てください』
「だけど……」

『手を出したりしません。信じてください。怖かったら、俺を縛ってくれてもいいんで』
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