きみがすきなもの、ぼくがすきなもの。
第1話:終着駅のアンバランス
大学での人間関係に、少しだけ息苦しさを感じていた。
周囲が求める「女子らしい私」「男子らしい僕」という枠組みから、無意識に息を潜めるように生きている。
加奈は、ごつごつしたヴィンテージのバイク雑誌や、無骨なミリタリー雑貨が好きだった。
けれど、それを友達に話すと「意外だね」「女の子っぽくないね」と笑われるのが嫌で、隠すように生きてきた。
貫太(かんた)も同じだった。本当は甘いマカロンや可愛いテディベア、きらきらした少女漫画の世界に胸をときめかせるのに、「男のくせに」という視線が怖くて、自分の「好き」に蓋をしていた。
そんなふたりが、春の終わりに一人旅で偶然たどり着いたのは、古いローカル線の終着駅にある小さな雑貨屋だった。
店内の一角で、加奈は古びた真鍮のオイルライターを手に取り、目を輝かせていた。
「……これ、めちゃくちゃかっこいい……」
そのすぐ隣で、貫太はパステルカラーのアンティークレースのハンカチを、うっとりとした表情で見つめていた。
「……すごく……かわいい……」
ふと目が合った。
加奈の手に握られた無骨なライターと、貫太の手に握られた乙女チックなハンカチ。
お互いの手元を見て、ふたりは同時に吹き出した。
「男っぽいものが好きなんだね、きみ」
「……うん。君は、女の子っぽいものが好きなんだね」
「ううん、逆。私、男みたいなものが好きなの。君こそ、女の子みたいなものが好きでしょ?」
その瞬間、世界がパッと明るくなった気がした。
否定される恐怖を感じないまま、自分の「好き」をまっすぐ見つめ合える相手に、ふたりは出会ってしまった。
周囲が求める「女子らしい私」「男子らしい僕」という枠組みから、無意識に息を潜めるように生きている。
加奈は、ごつごつしたヴィンテージのバイク雑誌や、無骨なミリタリー雑貨が好きだった。
けれど、それを友達に話すと「意外だね」「女の子っぽくないね」と笑われるのが嫌で、隠すように生きてきた。
貫太(かんた)も同じだった。本当は甘いマカロンや可愛いテディベア、きらきらした少女漫画の世界に胸をときめかせるのに、「男のくせに」という視線が怖くて、自分の「好き」に蓋をしていた。
そんなふたりが、春の終わりに一人旅で偶然たどり着いたのは、古いローカル線の終着駅にある小さな雑貨屋だった。
店内の一角で、加奈は古びた真鍮のオイルライターを手に取り、目を輝かせていた。
「……これ、めちゃくちゃかっこいい……」
そのすぐ隣で、貫太はパステルカラーのアンティークレースのハンカチを、うっとりとした表情で見つめていた。
「……すごく……かわいい……」
ふと目が合った。
加奈の手に握られた無骨なライターと、貫太の手に握られた乙女チックなハンカチ。
お互いの手元を見て、ふたりは同時に吹き出した。
「男っぽいものが好きなんだね、きみ」
「……うん。君は、女の子っぽいものが好きなんだね」
「ううん、逆。私、男みたいなものが好きなの。君こそ、女の子みたいなものが好きでしょ?」
その瞬間、世界がパッと明るくなった気がした。
否定される恐怖を感じないまま、自分の「好き」をまっすぐ見つめ合える相手に、ふたりは出会ってしまった。