きみがすきなもの、ぼくがすきなもの。

第2話:お小遣いとローカル線


「また、ここで会える?」

連絡先を交換し、名残惜しそうに別れたあの日から、ふたりの距離は月に一度の「旅」で繋がることになった。
お互いにお財布の事情が厳しい普通の大学生だ。潤沢な資金があるわけではない。
だからこそ、サバイトのシフトを必死に削り、限られたお小遣いを数ヶ月前から計画的に貯金した。

「今月も、予算クリアした!」

スマホの画面越しに、貫太が嬉しそうに笑う。
毎月第3土曜日、ふたりはそれぞれの街から同じローカル線に乗り込み、あの終着駅の小さな古道具屋で待ち合わせるのだ。
往復の切符代と、現地で使うお小遣いは決まって「月一万円」。贅沢はできないけれど、だからこそ一回一回の重みが違う。
電車に揺られながら、加奈は今日ふたりで話す内容を頭の中で並べ立てる。
(今月は、新しく出たミリタリーモデルのプラモデルの特集号について話したいな。貫太くん、前にお菓子作りの本貸してくれたから、その感想も言わなきゃ)
窓の外を流れる緑を眺めながら、胸が高鳴る。
この旅の時間は、世間の「普通」という重力から解放される、ふたりのための特別なサンクチュアリだった。
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