きみがすきなもの、ぼくがすきなもの。
第4話:夕暮れの駅舎で
夏の終わり。
蝉の声が遠く聞こえる夕暮れのホームで、ふたりは帰りの電車の時間を待っていた。
「あっという間だな……もう帰らなきゃいけないなんて」
ベンチに並んで座りながら、貫太がぽつりと言った。
その声には、隠しきれない名残惜しさが滲んでいる。
「うん……。今月も、楽しかったね」
加奈もうなずきながら、手元を見つめた。
出会ってから半年。月に一度の逢瀬は、いつしかふたりの生活の軸になっていた。
大学での授業中も、課題に追われる夜も、「次の土曜日には、貫太くんにあの話ができる」「加奈ちゃんに新しい雑貨を見せられる」と思えば、どんな憂鬱も乗り越えられた。
「ねえ、加奈ちゃん」
ふと、貫太が呼んだ。
「ん?」
振り返った加奈の視線の先で、夕日に照らされた貫太の瞳がまっすぐこちらを向いていた。 「僕ね、大学の友達の前では、なんかこう……男っぽくしなきゃって気負っちゃうんだ。でも、加奈ちゃんの前だと、そんなことぜんぜん気にしないでいられる。……それが、すごく嬉しいんだよ」
心臓が、ドキンと大きく跳ねた。
それは友達としての言葉だったのか、それとも――。
「……私も、だよ」
加奈は自分の胸に手を当てながら、小さく、しかしはっきりと答えた。
「貫太くんの前だと、女の子らしくしなきゃいけないプレッシャーが消えて、ただの自分でいられる。貫太くんといるときの自分が、一番好き」
言葉にした瞬間、電車の音が近づいてきた。
ガタンゴトン、とレールの響く音のなかで、ふたりの手がそっと触れ合う。
指先から伝わる熱が、やけに心地よかった。
蝉の声が遠く聞こえる夕暮れのホームで、ふたりは帰りの電車の時間を待っていた。
「あっという間だな……もう帰らなきゃいけないなんて」
ベンチに並んで座りながら、貫太がぽつりと言った。
その声には、隠しきれない名残惜しさが滲んでいる。
「うん……。今月も、楽しかったね」
加奈もうなずきながら、手元を見つめた。
出会ってから半年。月に一度の逢瀬は、いつしかふたりの生活の軸になっていた。
大学での授業中も、課題に追われる夜も、「次の土曜日には、貫太くんにあの話ができる」「加奈ちゃんに新しい雑貨を見せられる」と思えば、どんな憂鬱も乗り越えられた。
「ねえ、加奈ちゃん」
ふと、貫太が呼んだ。
「ん?」
振り返った加奈の視線の先で、夕日に照らされた貫太の瞳がまっすぐこちらを向いていた。 「僕ね、大学の友達の前では、なんかこう……男っぽくしなきゃって気負っちゃうんだ。でも、加奈ちゃんの前だと、そんなことぜんぜん気にしないでいられる。……それが、すごく嬉しいんだよ」
心臓が、ドキンと大きく跳ねた。
それは友達としての言葉だったのか、それとも――。
「……私も、だよ」
加奈は自分の胸に手を当てながら、小さく、しかしはっきりと答えた。
「貫太くんの前だと、女の子らしくしなきゃいけないプレッシャーが消えて、ただの自分でいられる。貫太くんといるときの自分が、一番好き」
言葉にした瞬間、電車の音が近づいてきた。
ガタンゴトン、とレールの響く音のなかで、ふたりの手がそっと触れ合う。
指先から伝わる熱が、やけに心地よかった。