キスから始まる恋は甘くて苦い

Scene24 キスしたい

「全部できました!」

 一通りこなせるようになったほたるが蒼一の方へ振り返る。

「あっ……」

 至近距離に顔があってほたるは身をすくめた。

 いつのまに、こんな近くに……

 けれど、蒼一は動かないでじっとほたるの目を見つめている。

「せんぱい?」

 蒼一は黙ったまま唇に微笑みを乗せた。あたかも言葉以外で何かを伝えようとしているように。

 ――いきなりこっち見るから、マジでビビった。

 あんまり真剣に取り組んでいるから、ついつい近距離で見守ってしまった。

 キスしたい、けど……今したら歯止めがきかなくなりそうだ。

 顔には余裕を浮かべて、でも心中は葛藤だらけだ。

 いつ唇がふれてもおかしくない距離なのに、蒼一はその気がないようで動かない。
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