恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで

10話  わたしの名を呼んでみろ



食堂でイザベラは少し遅めの昼食をとっていた。

王宮内の食堂は王宮で働いている人々がいつでも自由に利用できるため、常に人でごった返している。

イザベラは午後の業務の効率のため、昼食は軽めに済ませるので食堂で食事をとることは滅多にない。

しかし、ここ最近は時間を見つけては食堂に来ることにしている。


「本当にヤバいかもしれない!何も手につかないもん!!」


近くに座っている女性たちの会話にイザベラは聞き耳を立てる。

そして、手元の紙に彼女たちの会話の内容の要点を書き記した。

ここ最近、ユリウスの惚れ薬作製のための研究がまるっきり進んでいないことにイザベラはいよいよ本気で焦り始めていた。

ジョシュアとデートをして、恋について観察しようにもそもそも休みが合わない。

そして困ったことに、肝心のユリウス本人は、惚れ薬への興味を少しずつ失いつつあった。

研究費凍結を脅し文句にされているが、そもそもユリウスは経費管理が壊滅的なので、研究費の管理は全てイザベラが担っている。

たとえこのまま研究費が凍結され続けても、フローベル家の潤沢な資産がある限り、ユリウスが困ることはまずないだろう。

しかし、イザベラは違う。


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