恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで
ごく一般的な庶民で、給料を貰わないと生きていけないのだ。本当に死活問題である。
さすがに2ヶ月続けて無給は厳しいので、イザベラは自発的に恋について調べていた。
そして最近、人でごった返している食堂では、意外と世間話として恋の話をしている女性が多いことに気付いた。
そのため、イザベラはそんな彼女らの話を聞くために足繁く食堂に通うようになったのだ。
今聞き耳をたてている女性たちの会話を要約すると、一人の女性に好きな人ができた。
彼女は好きな相手のことを無意識に目で追ってしまい、気付いたらその人のことばかり考えていて、何も手がつかないときがあるらしい。
これらの特徴を見る限り、彼女が好きになったのは赤ちゃんみたいな人らしい。
赤ちゃんを見ている時も危険なことしてないか目が離せないし、四六時中世話などをしていたら自分のことなんて手につかない。
そこでイザベラは気付いてしまった。
この特徴がまんまユリウスを見ている時の自分に当てはまってしまうということに。
そんなことあり得るのかと、イザベラはもう一度自分でまとめた要点を見直す。
しかし、何度読み返しても、思い当たる節しかない。
もしかして、自分はすでにユリウスに恋をしているのかと疑いを抱き始めたイザベラだったが、次に耳に入ってきた会話でその可能性は瞬時に吹き飛んだ。
「その人のことを想うと、胸がギューっと苦しくなって、眠れなくなるもん」