恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで


訳がわからないまま名前を呼ぶと、先ほどまで険しかったユリウスの表情が僅かに緩む。


「次、忘れたらタダでは済まさないからな」


恐ろしい脅し文句を言い残し、ユリウスは王宮へと足を向ける。

名前を忘れたこと、そんなに根に持っているのかと恐怖で体が固まっていると、ユリウスが振り返ってくる。


「何をしている、早く戻るぞ。イザベラ」

「......えっ!?あっ、はい!!」


名前を呼ばれたことに驚いて、一瞬反応が遅れてしまったが、イザベラはユリウスを追いかける。

隣に並ぶと、ユリウスは再び歩き出す。

心なしか、歩幅をイザベラに合わせてくれているような気がしたが、気のせいかもしれないとイザベラもユリウスに合わせて歩き出す。

やっぱり名前を呼ばれただけなのに、妙にくすぐったいなとしきりに耳を触るイザベラだったが、どうやらくすぐったいのは耳ではないらしいと気付く。

それじゃあどこがくすぐったいのだろうと首を傾げるも、わからなくて少しだけ困惑するイザベラなのであった。


< 137 / 137 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ただ、飯食って、寝るだけ

総文字数/19,590

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
毎週金曜日は、朝陽恵吾と飯を食べて、酒を飲んで、彼の部屋で寝る。 告白をされたわけでもない。最初に身体を重ねたのも、酒に酔った勢いだった。 だから瑞希は、恵吾との関係を気の合う友人兼セフレだと思っていた。 たとえ恵吾の部屋に自分専用のシャンプーや化粧水が置いてあっても、寝ぼけた彼からキスをされても、女慣れした男ならそれくらいするのだろうと気にも留めていなかった。 そんなある日、恵吾に想いを寄せる職場の後輩から、彼との仲を取り持ってほしいと頼まれる。 もしかしたら、自分との曖昧な関係が、恵吾に本命ができる邪魔になっているのかもしれない。 少しだけ寂しく思いながらも、瑞希は身を引くために次の相手を探し始める。 その姿を見た恵吾が、深く傷ついているとも知らずに。 相手をセフレだと思っている女と、相手を彼女だと思っている男。 ただ飯を食って、寝るだけだったはずの二人が、自分たちの関係に名前をつけるまでの、盛大なすれ違いラブコメディ。
西城家の花

総文字数/102,059

恋愛(ラブコメ)115ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ある日、あるところで熊さんが出会ったのは美しい花でした これは、 「大志様…今日も素敵…」 常に暴走気味の通称『歩く才色兼備』、華道家元流水家の令嬢、美桜 と 「……(腹減ったな…)」 あらゆる武道の達人だが、中身も外見も色々残念な『西城の大熊』、大志 が 幸せな結婚に辿りつくまでの物語である *『恋文を送りましょう』は話の都合上、削除させていただきます。続きを待ってくださった読者様、本当に申し訳ありません
不機嫌プロポーズ(仮)

総文字数/9,199

恋愛(純愛)28ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「おい、チビ」 昔から、彼はわたしにだけ意地悪だった ≪レビュー感謝です(*^^*)≫ ひよこぐも様 有木くるみ様

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop