ホテルの怖い話短編集
それにしても専用エレベーターまでついているなんてすごい。
「だから、この中も清掃対象なのよ」
田辺さんがそう言ってエレベーターの扉を開ける。
その瞬間、ムワッと鉄臭い臭いが鼻孔を刺激した。
「なんですか、この臭い」
「大丈夫大丈夫。すぐに慣れるから」
田辺さんはそう言って慣れた手つきでエレベーターの床に落ちている金髪を掃除機で吸い取っていく。
それだけじゃない。
剥がされたような形跡のある血と肉片のついた爪や、人の歯のようなものがあちこちに落ちているのだ。
「これって、まさか……」
言いかけた私の言葉を、田辺さんが遮った。
< 67 / 92 >

この作品をシェア

pagetop