通りすがりの俺様
 


 俺がこの兄から守ってやらねば、と二人の話を聞きながら、一鷹は思っていた。

 この兄はまったく味方ではない気がする。

「……矢端も味方じゃないしな」
と一鷹はつい呟いて、

「そうなんですか?」
といずるに問われる。

「この間、お前にはたぶん、興味ないと言ってたんだ」

 たぶんってなんだ、気になるだろ、と言って、兄に、
「それは恋愛の話では?
 お前にとって味方じゃないだけだろ」
と言われた。

 兄、そこは冷静なのか。

 確かに、恋愛的にいずるに興味がないと言っただけのようにも聞こえたんだが――。

「『僕はね』って言ったのがなんか気になって。

 ……あいつ、笑顔でちょいちょい意味深なことを言うんですよ」

「矢端……。

 矢端って名前のやつがうちに関係あるか、調べてみるよ」
と敵だか味方だかわからない兄が言う。

 まあ、あまり可愛がった覚えのない妹のことも一応、心配しているようだし。
 任せてみるかと思った。

「そういえば、恋愛的にといえば、矢端、この間、お前のことを他の男に勧めていたな」

「勧めてたってなんですか……」

「違うか。
 お前に気がある風な男に、
『鳴沢さんは肉が好きだから、肉で誘ったらいい』とアドバイスしていた」

「男らしい誘われ方だな、いずる。
 この場合、男らしいのはお前の方だぞ」
と兄に言われている。
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