通りすがりの俺様
 


 イルミネーションがピカピカする街中。

 いずるはタコを買って、水族館から出た。

 なるほど、なまめかしいタコだ。

 リアルな彩色がされている、うねうねしているタコ。

 キモ可愛いという奴だろうか、と思いながら、大きなビニール袋に入れてもらったそれを抱えて水族館横の広場を歩いていると、正面から矢端が来た。

 あっ、しまった。
 私が先に見せちゃ駄目よね、と思ったのだが、矢端は微笑みながら近づいてくる。

「お疲れ、鳴沢さん」
「お疲れ様です~」

「それ、大きいね。
 なに?」
と案の定言う。

 まあ、水族館のマークの袋に入ってるしな、と思い、いずるは観念して言った。

「なまめかしいタコですよ」
「なにそれ」

 ……え?

「……矢端さんですよね?」
「うん」

 すごい普通に頷いたな。

 特に嘘はなさそうだ。

「いずるーっ」
と佐保子の声がした。

「あれっ? 佐保子」

「いや、今、買ったってメッセージ入ったから。
 ちょうど近くにいたのよ。

 私が買ってもよか……」

 そこで佐保子は矢端に気づいたようだった。

「あっ、矢端さんっ」

 佐保子は、はい、といずるに札を握らせ、その手にあるビニール袋をとる。
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