通りすがりの俺様
「いらなくなった、なまめかしいタコ」

 欲しがっていたのが自分が好きな方の矢端ではない、と気づいた佐保子がお金だけ払って、

「いらないからあげる。
 それなんか怖いから」
と言ったのだ。

 その話をして、
「なんか怖いもの、いらないよ」
と言われてしまう。

「……そうですよね」
と腕組みして考えたあとでいずるは言った。

「そうだ。
 網代木さんが欲しがってたからあげよう」

「……待って。
 そのタコ、そこから何処へ行くの?」

「……網代木さん、矢端さんにあげたがってましたね」

 いらない、ともう一度、矢端に言われてしまった。
 



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