通りすがりの俺様
小さなつづらも、大きなつづらも。
そもそもたいした物ではなかったのだ。
どちらでも中身は変わらない。
渡す相手もランダムだったのかもしれない。
でも、つづらを開けずにいる間に、そのつづらの中身の価値が勝手に変わってしまっていたのだ。
「金か?」
高騰してるしな、と運転しながら一鷹が言い、
「米か?」
高騰してるしな、と後部座席から兄が言う。
確かにどっちも値上がりしてるけど、と思いながら、いずるは助手席から住宅街の道を眺めていた。