通りすがりの俺様
「全然役に立たなさそうだぞ?」
 路地を眺めている兄たちの後ろ頭に向かい、いずるは言った。

「銀座の」

 銀座のっ!? と二人がいずるを振り返る。

「これから建て替える建物と建物の真ん中の路地です。
 実は私有地で。

 両隣を売ったあとも、道をどちらかに売るのもあれなので、祖父が所有していたそうなんです。

 今度、その二つの建物と土地が買収されて、ひとつの大きなビルになる計画があるらしくて。

 その道の部分を欲しがっているそうなんですが」

「その道をお前が所有しているのか。
 売らないでいたら、値が吊り上がっていったんだな?」
と一鷹が言う。

「吊り上げるつもりはなかったんですけどね。

 実は、その道の先にも店があって。
 そこを塞がれると、その店には客が入れないし。

 小さな迂回する道をビルの側に作る案もあるらしいんですが。
 そんなに幅広くはとれないし。

 今の四メーター道路がないと、将来的に建て替えられなくなるみたいなんですよね」

 それだと将来的に困るんで、といずるは言った。
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