通りすがりの俺様
「財産目当てじゃない証明か」
と呟いた一鷹は、よし、と手を打った。
「俺をお前の好きにしていいぞ!」
と長い腕を広げていってくる。
さあっ、何処からでも来いっ、という感じだった。
「……わかりました。
じゃあ、雨戸の建て付けが悪いので、直してください」
よしきたっ、と一鷹は早速雨戸を見に行っている。
その広い背中を眺めながら、ちょっと悪かったかなといずるは思ったが、一鷹は機嫌良く、雨戸を引っ張り出していた。
「これを直したら結婚してくれるんだよな」
と言う。
――違うよっ!?
そのとき、後ろ側の雨戸を動かす音がした。
一鷹が慌てて言う。
「矢端!
なに先に直そうとしてるんだっ」
「これ直したら、結婚できるんだよね?」
……しませんよ。
矢端はいずると一鷹を見て脅すように言う。
「でも、僕が直さないと、秀が来て直すよ」
「……どうなってんだ、お前らは」
と文句を言いながら、二人が直しているのだが――。
今、気づいたのだが、窓もカーテンも全開で直している。
犯人から丸見えだ……。