通りすがりの俺様
「そういえば、SNSで知り合いの動向とかわかるらしいですね」
そんな話をいずるははじめた。
「ケンちゃんが言ってたんですけど。
卒業してからの方が、SNSにより、みんなの現状に詳しくなったり。
それまで親しくなかったのに。
共通の趣味を持ってると気づいてコメントしてから親しくなったりしたそうです。
ケンちゃんも家族の人から、今の方がお前がなにしてるかわかると言われたそうで」
あ~、とソファでテレビを見ていた矢端が笑って言う。
「学生時代の動きって親にはわかりづらいかもしれないよね~」
「で、そんな中で、私の動向だけがわからなかったそうなんですよ」
「SNSやってないの?」
と矢端に訊かれ、
「私はイイネマシーンですから」
といずるは答える。
友だちの投稿に、イイネを押しまくっているだけだからだ。
「まあ、今はなにも投稿しない方がいいと思うけど。
身を隠してるようなもんだから」
そう言う矢端に、そうですよね~と答えながら、いずるは天井を見上げる。
この家に来てから、素敵だな、と思う空間が家の中にいっぱいある。
このリビングから見上げる二階の廊下とか。
ライトに照らし出され、吹き抜けで、くるくる回ってるシーリングファンとか。
ライトアップされているテレビの向こうの中庭とか。
でもまあ、写真を撮っても、ネットには上げない方がいいもんな――。