通りすがりの俺様
一鷹に連れられていったホテルのアフタヌーンティーセットは和と洋のがあって、死ぬほど悩んだ。
「じゃあ、お前、和にしろよ。
俺が洋のにする」
と一鷹が言ってくれたので、両方頼み、二人はちょっとずつ食べた。
「これも、一口食べろよ」
「ありがとうございます」
こってりしたチョコのミニパフェのようなものを一鷹は指差した。
「最初の一口はクセの強いナッツの味がして美味くないんだが、全体的には美味いぞ」
……では何故、美味くない一口めをくれましたか。
まあ、可愛らしいミニパフェの形を崩したら悪いと思ったのだろうが。
大きなガラス窓から昼の日差しが眩しい緑の庭園が見える。
そちらを見ながら、いずるはちょっとさりげない感じに訊いてみた。
「最近、誰かとここに来られたんですか?」
アフタヌーンティーセットは季節ごとに内容が変わる。
少し春の気配を感じる今のアフタヌーンティーセットを食べたということは、最近、女性とここに来たということだろう。
男同士で来ないもんな、アフタヌーンティーセットを食べに、と思ったが。
矢端と秀となら来そうな気もした。
なんかあの二人似合う。
アフタヌーンティーセット。
だけど、そのときは自分も誘ってくれそうな気がしたので、やはり、誰か女性と来たのだろう。
一鷹はかなり迷ってから言った。
「来た」
やっぱり……と思ういずるに、
「母親と姉に連れてこられた」
と言う。
それは違う意味で言いたくなかったかもですね……。
この年で、母や姉に引き摺り回されてる感じがちょっと、と思う女性もいるだろうから。