通りすがりの俺様
「母がここの支配人と親しいんだ。
 結婚するのなら、ここで、と言っている」

「お母様がですか?」

「なんでだ。
 俺がだ」

 俺の結婚式の話だ、と一鷹は言う。

「ちなみに姉は別の式場にしろと言われている」

 子供の数は有限。
 付き合いは無限。

「離婚再婚するときは、こっち、とか言われそうですね」
と笑うと、

「……見てみるか、式場」
と一鷹が言い出した。

 何故、あなたと私で式場を?
と思いながら、

「私、結婚式は二人だけで、ひっそり挙げるのが夢なので」
とさりげなく断った。

「わかった。
 じゃあ、二人でひっそり挙げよう」

 この人には、さりげない断りなんて通じないんだったな、と思い出す。

「だったら、ここでは披露宴だけでいいぞ」

 なおも抵抗し、
「披露宴もひっそり二人だけでやりたいんです」
と言ってみたが、

「それ、披露してないじゃないか」
と言われてしまった。
 



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