通りすがりの俺様
「俺は親の金なんて当てにしてない。
 俺は俺で稼ぐから」

 なんですか。
 格好いいではないですか。

「まあ、お金はなくても、いずるちゃんには、あたたかい家族がいるよね」
と矢端が上手くまとめようとしてくれたのだが、

 ……あれ、あたたかいですか?
と兄を知るみんなにちょっと問うてみたかった。

「そういえば、遺産相続も金だけじゃないよね」
と秀が言う。

「末の息子が金目の物じゃなく、猫を手にいれたりしてるし。
 あれもあたかかい家族を手にいれる話かな」

 何故、突然、長靴を履いた猫に。

 今、頭の中で、兄が猫になった。

 ……すごい役に立たなさそうだ。

「まあ、一鷹はなんでも強引に話進めるから。
 女子はそういうの好きな人もいるかもしれないけど」
と矢端が言い出す。

 おっ、(いさ)めてくださるのですか?
と思ったのだが、矢端はちょっと考え、

「でもまあ、わりと助かるか」
と裏切った。

 ――矢端さん~。

「一鷹はさ、女子と距離詰めるの早いよね。
 僕ら女子には気を使いすぎちゃってさ」

 いや、詐欺師ばりに手が早い秀さんが言うのどうかと思います。
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