通りすがりの俺様
「水内さんの真剣にウロコをとる顔、格好よかったです」
魚の煮付けで一杯やりながら、いずるは言った。
「だそうだぞ。
よかったな、一鷹」
「ありがとう、師匠」
秀と一鷹の間にはスポ根的友情が生まれていた。
「それにしても、なんでみんな俺たちの素の姿を見たくないって言うんだ。
別に変わらないだろ、家でも外でも」
と秀が言い出す。
確かに。
家でも外でも、ちょっとロクでなしっぽいところは変わらないですよね。
悪い男に騙されたい佐保子なんかは、ここに住んでも大丈夫だと思うんだけどな……といずるは思っていた。
「だが、一緒に住んだからこそ、わかることもあるよな」
と一鷹が言い出し、ドキリとする。
自分の駄目なところを見られたかなと思ったからだ。
一鷹は言う。
「いずるは一緒に住んでも住まなくても変わらないよ」
よかった……と思ったが、
「最初から思ってた通り、自堕落でなにも変わらない」
と笑顔で言われる。