通りすがりの俺様
「この間、たまたまエレベーターで高石さんと本の話になって。
 貸してくれるって言うから、借りたの。

 そしたら、高い化粧品のブランドの紙袋で貸してくれて。
 なんか負けた気がしたんで、更に高いブランドのに入れて返そうと思って、買いに行ったのよ」

 なにを?
 紙袋を?

 いや、紙袋欲しさに化粧品を?

 貸してくれたときの袋のまま返せばいいのでは……、
と思っていると、いずるの表情を読んで、網代木は言う。

「いや、お礼に私も本貸したから、そもそも、借りたときの紙袋じゃ小さかったのよ。

 でも、そしたら、今度は高いブランドの服の店の紙袋に入れて、新たな本とともに、また貸してくれたの。

 だから、小野寺から小野寺が海外で買い物行ったときの紙袋を買い取って――」

 ……だから何故、紙袋でマウント取り合うんですか。

「終わりなき戦いがはじまったのよ……」
と疲れたように網代木は言う。

「でも、今、ようやく終止符が打たれたわ。
 私が紙袋を渡したところで終わったから私の勝ちかしら」

「……なににビックリって、お二人の意外な本好きにビックリですが」
と思わず言って、いや、そこ? といずるは言われる。
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