通りすがりの俺様
「お前のロッカーを荒らしたのは、水鳥七人という可能性はないか?
その彼女にロッカールームに入れてもらったんじゃないのか?」
と一鷹が言う。
夜、今日も二人が早く戻っていたので、みんなを待って、一鷹と庭のソファで一杯やっていた。
うーん、といずるはライトアップされたライムの木を眺めながら、小首を傾げる。
「まあ、確かにシステムの女性たちのロッカーも同じところなんですよねー。
ロッカーの列が離れてるんで、あまり顔は合わせませんが。
……でも、七人が犯人で、例の遺産絡みなら。
私自身にまったく近づいてこないのが不思議なんですよね」
なんの話を訊き出そうとする気配もないです、といずるは言った。
「そうか。
じゃあ、それとこれは関係ないのかな。
ところで、なんか疲れてないか?」
「いや~、今日、昼から突然、秘書の手伝いを命じられまして。
てんてこまいだったんですよ」
「そうか。
それはお疲れだったな」
「今度の会議の準備だったんですけど。
これから毎日、通常業務と並行して手伝わないといけないみたいで」
「じゃあ、俺が酒を作ってねぎらってやろう」
と立ち上がる一鷹の背に向かい、
「いやー、これ以上呑むとご飯食べたりお風呂入ったりする前に、寝ちゃいそうなんで」
といずるは笑って言った。
振り返った一鷹はなにか言いかけたが。
「……そうか」
と言って、また座る。