通りすがりの俺様
 


「ついに、お前の部屋に入れた!
 感激だ!」

 いずるを抱いたまま部屋に入った一鷹はそう声を上げた。

 なんでそれしきのことで、子どものように喜ぶのですかっ。
 っていうか、なんですか、その眩しい笑顔はっ!

 こんな人とは、一緒に暮らしていけそうにない!
 いや、暮らしてるけど、そういう意味じゃなくっ。

 初めていずるの部屋に入った一鷹よりもいずるは動揺する。

 私ごときの部屋に入ったくらいで、そんなテンション上げられても。
 申し訳なくて、ペコペコしたくなるのですがっ。

 最初からあった家具類以外ない部屋の中を見回し、一鷹が言う。

「それにしても、すごいな。
 ここで暮らしてる感がまったくないっ」

 ……まあ、ここ、仮の宿りですからね。

「なんか部屋っぽくないけど、部屋には入れてくれたわけだから。
 これは、キスとかしてもいいと言うことかっ?」

 ――いや、何故っ!?

「今まで、警戒されたら嫌だから、同じ家に住んでいても、強くは押してこなかったんだが――」

 今、めちゃめちゃ警戒してますけどっ!?
と思いながら、いずるは一鷹の腕から無理やり下りる。
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