通りすがりの俺様
「よし、俺がベッドまで運んでやろう」
と食洗機に洗い物を詰め込んでいた一鷹は手を拭き、こちらに向かって歩いてきた。

「い、いやいやっ。
 結構ですっ」

 いずるは運びかけていた皿をテーブルに置き、後ずさる。

 だが、一鷹は、
「やってみたいんだっ。
 やらせろっ」
と主張してくる。

 それ、もはや、私のためではないですよね~っ、と思っているうちに、ひょい、とお姫様抱っこされた。

「うっ」

 ……重かったようだ。

「死んでいる人間は重いというが。
 生きている人間も重いな……」

 あなたはなんの犯罪を犯すつもりなのですか……。

 ずるずると引きずられていく死体の自分を妄想したが、一鷹は、
「抱えた位置が悪かった気がする」
と言いながら、いずるを一度、ソファに下ろした。

 そのまま、抱き抱え直す。

「よしっ。
 これなら、いけるっ!
 階段も上れるぞっ」

「いやっ、ほんとにいいんでっ。
 下ろしてください~っ」
といずるは一鷹の腕の中で懇願した。

 結局、下ろしてはくれそうになかったので、そのまま部屋まで運ばれる。
 



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