通りすがりの俺様
 


 疲れていたので、本当にそのまま爆睡してしまった。

 ……なんか暗いな。

 すごい寝た気がするんだけど、もしかして、まだ夜?
といずるはスマホで時間を確認する。

 あれ?
 二時間くらいしか寝てないや。

 ちょっと喉が乾いたな、と思いながらキッチンに行くと、そこから続いているダイニングには夜食を食べている矢端がいた。

「あれ?
 疲れて寝てるって聞いたんだけど」
と言って笑う。

 一鷹の作ったカレーのいい香りが充満していて、また食べたくなったが、この時間に食べたら太るので、グッと(こら)えた。

「いやあ、それが短時間で爆睡しちゃったみたいで、逆に目が冴えちゃって」
といずるが言うと、

「じゃあ、ちょっと呑みなよ。
 また眠れるよ」
と矢端は言う。

 それもそうだな、と思って、ワインを注いでいると、カレーを食べながら、矢端が言った。

「そうだ。
 さっき、聞いたんだけど、いずるちゃんの部屋に入れたら、キスしてもいいんだって?」

 ――話が捻じ曲がっていっているっ!
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