通りすがりの俺様
 

 その日の夕方、いずるは久しぶりに家に帰ろうとしていた。

 なんかあの屋敷の方が危険な感じになってきたしな。

 いやまあ、いる物をとったら、すぐに戻るつもりではあったのだが。

 ちょっと買い物にも寄ったので、線路を渡り、いつもと違う道を通っていたのだが、誰かがついて来る気配がした。

 いずるは足早に夕暮れの道を歩く。

 あまり早く歩いて気づいたとこに気づかれたら嫌だと思ったからだ。

 まあ、気のせいかもしれないし。

 っていうか、気のせいだったら、いきなり走り出した変な人になっちゃうからな、と思いながら、いずるは近くのコンビニに入ってみた。

 雑誌を見て買い、外に出たときには、さっきの気配はなかった。

 ……やっぱり気のせいかな。

 もう帰ろうかな、と思ったとき、自分の中の帰る場所は一鷹たちのいる家の方になっていると気がついた。

 でも、ここまで来たから、さっととって帰ろう。

 日が落ちるのが遅くなっててよかった。

 そう思いながら、まだ少しは明るい道を歩きだすと、またつけられているような気配を感じた。

 振り向いてみたが、散歩している年配のご夫婦しかいない。

 やっぱり気のせい?

 そう思ったが、どんどん足が速くなる。
< 259 / 307 >

この作品をシェア

pagetop