通りすがりの俺様
 もつれるどころか、七人は自分に近づかなければならないのに、興味が持てず、沙奈に近づいていってしまったようなのだが……。

 まあ、そのおかげで、一瞬生じていた七人への疑いが一度は晴れていたわけだから、七人的にはそれでよかったのかもしれないが。

 七人は言う。

「沙奈は俺がお前のことで知っていることをスマホにまとめていたのを見て、なにかあるのかと怪しんでいたようだ。

 ……でも、俺の代わりに沙奈が捕まるだなんてっ。

 俺もなにかやらなければっ、と思って、この家に侵入してみたんだが」

 ――やらなくていいよ!
 全体的に罪が重くなるよ!

「これが沙奈に対する俺の愛の(あかし)だっ」

 たぶん、その証、いらないよっ。

「あのー、なんで、秀さんに危害を加えたの?」

「加えてはいない。
 あの人、勝手にすっ転んだんだ」

 そういえば、そう言ってたな。

「彼には悪いことをした」
と七人は深く反省していた。

 置いて逃げてしまったことも。

「ところで、七人、ここに忍び込んで、どうするつもりだったの?」

 七人は少し考え、
「……特にやることは思いつかなかったんだが。
 まあ……忍び込んでみようかと」
と言う。

 誰だ、こんなビジョンのない奴を悪の手先に使おうとしたのは。

「俺だったら、雇わないぞ、こんなやつ」
と一鷹も言う。
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