通りすがりの俺様
いずるは、ただいま、と家に戻ったが。
広い屋敷なので、返事があることはあまりない。
「ただいま帰りましたー」
ともう一度言いながら、ダイニングキッチンに向かう。
今日は私が一番乗りかな、と思ったが、キッチンには灯りがついていた。
いずるは、ふふ、といいことを考えた。
あのいまいち正確性に欠ける位置情報で、誰か当ててみよう。
少なくとも、今、家にいるのが誰かくらいはわかるだろう、と暗い廊下で立ち止まり、スマホを開いたとき、一鷹の声が聞こえてきた。
「永遠に来ないと思ってたのにな、こんな日は――。
いずるはもう気づいているだろうが?」
深刻な呟きに、ふと、昼間の『ミステリーやサスペンスは二転三転した方が面白い』という話が蘇る。
どきりとしていた。
……まさか、やっぱり、水内さんが?
スマホで位置情報を確認すると、家の中には一鷹と、その近くに七人がいる。
いや、位置は相変わらずズレているので、中庭にいる感じに表示されているのだが。
やはり、この二人はグルだったのかっ。
身構えて次の言葉を待ったが、聞こえてこない。
毒を食らわば皿までだっ、といずるは扉を開けた。
「お、おかえり」
と慌てて言った一鷹はなにかを隠した。
近くに七人の姿はない。