通りすがりの俺様
「……七人は?」
と言うと、

「いないぞ」
と言う。

「でも、スマホだと表示されてるんですけど」
 なんだって? と一鷹がいずるの手にある位置情報を覗き込んできた。

 近い近い、近いですっ、とスマホをつかまれたまま、いずるは頭だけ逃げてみる。

「ほんとだな」
と言った一鷹は周囲を探し出した。

「お、あった」

 ダイニングテーブルの横にあるローボードの隅に見覚えのないスマホがあった。

「……これで盗聴とか盗撮とかしてたとか?」
といずるは言って覗き込んだが、動いている気配はない。

 七人のスマホを鳴らしてみた。

 だが、目の前のスマホは鳴らなかった。

「えっ? どういう……」
と思ったとき、七人が電話に出た。

「はいはい、水鳥です~」
「七人、ここにスマホがあるんだけど」

「えっ? マジでっ?
 ないと思ったんだよ、仕事用のスマホ~。

 まあ、こっちがあるから、困らないけど」

 いや、困れっ。
 よく見たら、なんかすごい着信してるよ、このスマホッ。

 っていうか、仕事用のスマホと位置共有してたのか、
と思ういずるに、

「あとで取りに行くね~」
と軽くこの犯人は言う。

 いや、犯人の自覚はなさそうだったが。
< 283 / 307 >

この作品をシェア

pagetop