通りすがりの俺様
「『す魔法』、俺も使いたいな」
……水内さんまで、やめてください。
あなたも警察に突き出しますよ。
いや、この人はなにもしていないんだが、とリビングで食後の珈琲を飲みながらいずるは思う。
「しかし、いよいよ、親に紹介か。
緊張するな。
いずるを前にすると俺のメンタルは豆腐だ」
とみんなの前で、一鷹は言ったが、
「どんだけ硬い豆腐だ」
と秀が言い、
「煮る前の高野豆腐かな」
と笑顔で矢端も言っている。
「俺は挨拶に行かなくていいか?」
いきなり、そんな兄っぽいことを兄が言い出し、
「いや、親がまだ挨拶してないのに、お兄ちゃんがいきなり行くの、おかしいじゃない」
ちょっと嬉しく思いながらも、いずるはそう言ったのだが、一鷹は、
「顔突き合わせて会うのは、いずるが緊張するらしい、と親に言ったら、じゃあ、今度のパーティーにあんたたち来る? って言ってたんで。
おにいさんもどうぞ。
そうだ。
ついでに、みんなも一緒に来たらどうだ?」
と矢端たちにも言う。