恋旅
4日目 昼~第1グループ・カフェ~
おしゃれなインテリアと香ばしいコーヒーの香りに包まれたカフェ。
それぞれのテーブルや席で、交錯する恋心が一層熱を帯びていく。
~慧 & ひまり~
慧は、ひまりを笑顔にしようと次々と面白い話題を振ったり、おすすめのスイーツをシェアしたりと、終始スマートにエスコートしてくれていた。
しかし、その優しさに触れれば触れるほど、ひまりの胸には「申し訳なさ」の気持ちが大きく膨れ上がっていく。
慧はこんなに良くしてくれてるのに、私の気持ちは龍之介くんにいっぱいで……ごめんね、慧。
嬉しい反面、まっすぐな好意に応えられない切なさが、ひまりの胸をチクリと締め付けていた。
~龍之介 & ひまり~
一方、両思いを確かめ合っているはずの龍之介とひまり。
しかし、いざ目の前にひまりが座ると、龍之介はさっきまでの余裕が嘘のように消え去ってしまう。
「あ、えっと……その……」
ひまりのまっすぐな視線に耐えきれず、顔を真っ赤にして言葉に詰まってしまう龍之介。
肝心なところでまったく上手に話せない。
そんな不器用な龍之介の様子を見て、ひまりはクスリと微笑む。
「もう、龍之介くんってば。ねえ、昨日の夜は何考えてたの?」
自分から明るく次々と話題を振っていくひまり。
そのおかげで途切れることなく楽しく会話が続き、照れ屋な彼をリードする甘い空気が流れていた。
~龍之介 & すみれ~
どうしても龍之介と話したかったすみれが、意を決してまっすぐな想いをぶつけていた。
「龍之介くん、私、やっぱり龍之介くんが好き。もっと見てほしいの。ひまりちゃんが好きだとしても。ちょっとだけでもいいから見てほしいの」
必死のアピールを続けるすみれに、龍之介は真剣な表情を向け、静かに、けれどはっきりと首を横に振った。
「すみれちゃんの気持ちは本当にありがたい。だけど……俺はもうずっと気持ちが決まってるから、諦めてほしいんだ」
ハッキリと告げられた拒絶の言葉。
しかし、すみれは諦めるどころか、潤んだ瞳で強く横に首を振った。
「……まだ最終的にどう告白するかは分からないけど、私、ちゃんと告白するつもりだから。だから、告白する前提で聞いてほしいの。……告白するまでは、好きでいてもいい? もしその告白で振られたら、そのときはすっぱり諦めるから」
切なくも健気なお願いに、龍之介は返す言葉に詰まり、複雑な表情のままじっとすみれを見つめ返すしかなかった。