あなたは悪魔で運命の人


…翌日…



私は朝から会社を休んで龍崎部長の家を訪ねることにした。

そして書いてあった住所の高層マンションの前で立ち止まった。


「たぶん、このマンションみたいだけど…ここの23階かな?」


“ポーン”


高速エレベータが23階に到着した。
部屋番号を見ながら部屋を探す。


「ここだ!“龍崎”と表札が出ている。」

私は恐るおそる家の呼鈴を押した。


“ピンポーン”


ベルを押すが返事がない。
まさかととは思ったが、試しにドアを開けてみる。

すると、カチャリと音をたててドアが開いたではないか。


「えっ、開いてる。お…お邪魔…お邪魔します!」


玄関に入ると、目に飛び込んできたのは、女物の黒いハイヒールだ。


「ど…どうしよう…お客様かな?でも鍵も開いてるし、入ってもいいですか?」


私は小声で呟きながら家の中に入って行った。

中に入ってみると、広々とした綺麗なリビング。
町が一望できる大きな窓が付いている。

「素敵な部屋…。」

すると…何か声のような音が聞こえて来た。
その音は、奥の部屋からのようだった。

私は、そっと近づいてみる。

「あぁ…ん…もっと…気持ちいぃ。」

(…っえ…まさか…)

女性の艶めかしい声が聞こえて来たのだ。

私はいけないと思いつつも、恐るおそる少し開いているドアの前に近付いた。
中をそっと覗くと!!

男性と女性が裸で愛し合っている最中ではないか。

(なに…これ…噓でしょ!!)

私は慌ててしまい、逃げようとして壁に頭をぶつけてしまった。

“…ゴン!”

(…まずい…見つかる!)

逃げようとした瞬間に見つかってしまったようだ。


「もしかして…鈴木さんかな?」

この状況なのに、龍崎部長は慌てていない。
しかも、なぜ私だと分かっているのだろう。


「あ…あ…あの…その…見るつもりじゃ…なくて…ごめんなさい。」


顔が爆発しそうに熱い。
心臓が飛び出そうなくらい跳ね上がっている。


「ちょっと、リビングで待っててくれるかい。すぐ終わるから。」

「…」


すぐ終わるって…そういう問題じゃ…。

心臓が痛いほど跳ね上がっていたので、リビングのソファーに座らせてもらい、努めて落ち着こうとした。

しばらくすると、20代後半くらいの綺麗な女性と龍崎部長が何も無かったかのように部屋から出て来た。
龍崎部長は女性に微笑みながら話し始めた。

「じゃあ、また次回よろしくお願いします。」

「…はい。お邪魔しました。」

先ほどのまでの、艶めかしい二人と思えない会話。

「…誰?」


女性が家から出て行くと、龍崎部長は笑みを浮かべて私を見た。

「鈴木さん、よく俺の家がわかったね。」

「お…教えてもらって…。それより…あの…今の…女性は帰らせて良かったのですか?」

「気になる?」

「…別に…気になりません。」

「…そう。気にならないんだ」

「…やっぱり…あの!!」

「…やっぱりなに?」

「…き…気に…なります。」

龍崎部長は口角と片眉を上げて悪戯な表情をした。

「ふぅ~ん、気になるんだ。…彼女はハウスキーパーだよ。部屋の掃除に来てもらったんだ。」

「だって…さっき…ベットで…その…」

「セックスしてたって言いたいの?」

「やめてください…その言い方!」

「…可愛いね…照れるんだ。」

私は眉間を寄せて少し怒った表情をする。

「それより…体はもう大丈夫なんですか?」

「ああ…だいぶ良くなったよ。」

「あの…申し訳ございません。私が無理なお願いしたので…こんなことになってしまって。」

龍崎部長は天井を見上げて大きく息を吐いた。

「死にはしないと言ったはずだ…君が悲しむ姿は、こんな傷よりもずっと辛い。」

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