私のイケメンヒーローは、どこかおかしい
翌日。
彼は、夢の中で見た公園へ向かった。
なぜここへ来たのか。
自分でも分からない。
ただ、どうしても来なければならない。
そんな気がしていた。
公園に着くと、夢で見た景色が目の前に広がっていた。
大きな木。
その下にあるベンチ。
風に揺れる木の葉。
夢で見たものと、何もかも同じだった。
彼はベンチの前で立ち止まった。
「……ここで、何を待ってるんだ?」
自分でも分からない。
その時だった。
公園の入り口から、一人の少女が歩いてきた。
彼女だった。
彼女も、辺りを見渡している。
まるで、誰かを探しているように。
そして――
二人の目が合った。
その瞬間。
「――っ……!」
激しい頭痛が、二人を襲った。
彼は反射的に頭を押さえた。
彼女も同じように頭を押さえ、その場にしゃがみ込む。
何が起こっているのか分からない。
ただ、頭の中に何かが流れ込んでくる。
知らないはずの場所。
知らないはずの人。
それなのに、どこか懐かしい。
胸の奥が、締めつけられる。
彼も彼女も、目を閉じた。
すると――
頭の中に、一つの光景が浮かんだ。
遠い昔。
今とは違う場所。
今とは違う姿をした二人。
けれど、その二人は確かに――
自分たちだった。
笑っている。
話している。
手を繋いでいる。
互いを見つめている。
そして、愛し合っている。
記憶が次々と流れ込んでくる。
嬉しかった日。
幸せだった時間。
かけがえのない日々。
そして――
別れ。
胸が締めつけられるような痛み。
愛する人を失う悲しみ。
それでも最後に残ったのは、
一つの願いだった。
――何度生まれ変わっても、君と出会いたい。
その願いを抱いた二人の記憶が、今、二人の中で繋がっていく。
彼も。
彼女も。
まだ目を開けない。
ただ、頭を押さえたまま、遠い記憶の中へと沈んでいく。
そして――
二人の意識は、今から遥か遠い過去へと引き込まれていった。