私のイケメンヒーローは、どこかおかしい
原世
西方に位置する大国、マ国。

そして、その東に広がる大国、リュミエラ国。

二つの国は長い間、互いに良好とは言えない関係にあった。

国境では小さな衝突が繰り返され、両国の緊張は日に日に高まっていた。

このままでは、いつ戦争が始まってもおかしくない。

そんな状況を憂いた両国の皇帝は、ある一つの策を考えた。

――互いの子供を結婚させ、両国の間に同盟を結ぶ。

マ国の第一皇子、ルーファンス。

リュミエラ国の第一皇女、リリア。

二人が夫婦となれば、両国の関係は大きく変わる。

そう考えた両皇帝は、それぞれの子供に政略結婚を持ちかけた。

しかし――。

ルーファンスは、父である皇帝に静かに告げた。

「俺は、会ったこともない相手と結婚するつもりはありません」

一方、リリアもまた、父である皇帝に自分の意思を伝えた。

「私は、政略結婚を望みません」

二人は互いの存在すら知らないまま、それぞれの理由で政略結婚を拒んだ。

けれど、両皇帝は二人に無理強いをしなかった。

戦争を避けることも大切だった。

けれど、それ以上に、自分たちの子供には幸せになってほしかった。

だから、それぞれ別の相手を選んだ。

ルーファンスには、マ国の名門公爵家の令嬢――クラリス。

リリアには、リュミエラ国の名門侯爵家の嫡男――エリオット。

こうして二人には、それぞれ新たな婚約者が用意された。

この時の二人は、まだ知らなかった。

自分たちが拒んだ政略結婚の相手と、いつか異国で出会い――

そして、その人を誰よりも愛することになるなんて。

この時はまだ、誰も知らなかった。
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