友達じゃなかった奴が友達以上になった理由〜『接点ゼロだった僕らが、放課後とLINEで「特別」になるまで〜
夕暮れが近い教室に男二人。

日直の仕上げで一日の日誌を書いている。

僕、蓮見 柊吾(はすみ しゅうご)

橘 翔太(たちばな しょうた)。

日直は毎回名簿順で二人選出される。

苗字からいくと僕らが一緒になることはないはずなのに、今回何故か一緒になった。

「だりぃー。今時アナログで日誌書く学校あるかよー。」

やる気のない橘を横目に、黙々と日誌の余白を埋めていく僕。

「お前さ。」

「……お前じゃない。蓮見です。」

「あ、わりぃ。蓮見……しゅうご君ね笑」

「人の名前で笑うなよ。」

「笑ったつもりはないけど。気を悪くしたらごめーんね!」

軽そうな男。

僕はこういう奴が嫌いだ。

こんな、

ただ笑ってるだけで場の雰囲気が和んで、あたかもそこにいるのが当たり前の様な立ち位置の存在な奴。

何にも努力もしないで人の輪の中に自然に潜り込んでいける。

もっとも苦手で近付きたくない奴。

「蓮見ってさ、実は俺のこと苦手?」

バキッ!!

聞いたと同時にシャーペンの芯が勢いよく折れた。

「何? その分かりやすい反応? 笑 やっぱりな。同じクラスになっても全然目も合わせてくれなかったし、話したこともなかったもんな。」

それはそう。

100%避けてたんでね。

「実は今回日野に頼んで日直わざと変わってもらったんだよな! 名簿順だから俺ら一緒になること一生ないじゃん? 笑」

「何故わざわざそんな事……?」

「んー? なぜだと思う?」

「疑問形に疑問形で答えるとこ、嫌いです。」

「ふっ! あははははっ!!」

橘は机をバンバン叩きながら笑い転げてる。

そんな下品な雰囲気も嫌い。

何なんだよ。こいつ。

一生関わる事がないジャンルの人間だと思ってたのに。

ツーブロックも、襟元のツメをきちんと留めてないとこも、毎回原色の靴下履いてるとこも。

僕とは好みも性格も正反対な男なのに。

夏休みに入る学校最後の日の今日。

二人。

日直で一緒に日誌を書いてる。

ジリジリ暑い外の空気が、エアコンで涼しくなった部屋に窓の隙間からスルリと入り込んでくる。

「……暑い?」

その言葉と同時だった。

橘の指が……僕の前髪に触れた。
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