『付き合ってない、たぶん』上
「待って、蓮……っ! 蓮!!」

俺が伸ばした手は、空をきった。

蓮は振り返ることもなく、逃げるようにして足早に部屋を出て行ってしまった。

バタン、と静かにドアが閉まる音が、俺たちの「高校生の日常」の終わりの合図だった。

静まり返った部屋の中で、俺は枕元の白い箱を、震える手で開けた。

「――あ……っ、う、うあぁ……っ!!」

箱の中に入っていたのは、シンプルな、だけど内側に小さく『R to H』と刻印された、銀色の指輪だった。

あいつは「縛りたくない」なんて綺麗事を言いながら、自分の名前を刻んだ指輪を俺に残していったのだ。

「別れて欲しい」と言いながら、俺の心も指先も、すべて自分だけのものだと閉じ込めるように。

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