天使とケサランパサランの靴屋
 運び出された作業台の上には、昨日、瓦礫の底から拾い上げたあの天使のオルゴールが大切そうに置かれています。

 そしてその横には、折れてしまった人形の「片方の小さな翼」も、二人の手によってちゃんと見つけ出され、そっと添えられていたのです。

 今、二人の周りからは、昨日までの冷たい絶望の空気はすっかり消え失せていました。

 代わりに、まるで嵐の後の草花のような、優しく温かな「希望の香り」がふわりと漂っています。

 その香りに包まれていると、そばかすの天使は自分の傷ついた翼の痛みさえ忘れてしまうほど、心があたたかく軽くなっていくのを感じました。

 嬉しくなった天使は、せっせと手を動かす二人の顔を交互に覗き込み、決して届くことのない静かな声で、楽しそうに問いかけます。

(ねえ、何をしているの? どうしてそんなに楽しそうなの? 私にも教えて!)

 手を動かしていたコーリャとエレーナの視線がふと重なると、どちらからともなく、あの温かい歌を口ずさみ始めました。

「ケサラン、パサラン」

「ケサラン、パサラン……」

 その姿を見て、二人が崩れてしまった工房を自分たちの手でもう一度建て直そうとしているのだと悟った瞬間、そばかすの天使の表情に、じんわりと優しい光が灯りました。
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