僕たちの余命は、一週間で一生分
「陽菜……っ!」


俺はボロボロの身体を奮い立たせ、声のする方へと全力で走った。


大通りの影、古びたビルの隙間に、陽菜が黒いスーツの男の腕をガシッと掴んで立ち塞がっていた


半年間、そしてこの数日間、彼女がずぶ濡れになりながら死に物狂いで探し求め続けた、あの『寿命買取屋』の男だった


「おや、お揃いでお出ましですか。毎度ありがとうございます」


男はアタッシュケースを抱えたまま、相変わらずうさんくさい笑みを浮かべていた


息を切らせて追いついた俺は、陽菜の前に進み出ると、自分の薬指からシルバーの指輪をきつく引き抜き、男の目の前に突きつけた。


「これを、お前にやる」


「ほう? ただの銀の指輪ですね。我が社では、貴金属の買取りは行っておりませんが?」


「ただの指輪じゃない!」


俺は男の目を真っ直ぐに見据えて、怒鳴りつけた


「この指輪には、俺たちが実家の地獄を生き延びて、ここで出会って、この一週間を死ぬ気で愛し合ってきた、すべての時間が詰まってる! 俺たちのこれからの未来も、全部ここに込めたんだ!」
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