完璧な三神くんは、愛だけがわからない。
遡ること一時間前。
「あ、やばい教室に水筒忘れた。とってくるから、先正面玄関行っててー」
「あらら、いってらっしゃい」
季節は春、放課後。
この高校で知り合った来未(クルミ)ちゃんとは、入学式の席が前後だった。くるちゃんは綺麗と可愛いを兼ね備えた美女である。美女であるのにも関わらず、ほどよく抜けていて嫌みがない。
また、その美貌とは裏腹に、竹を割ったようにさっぱりとした性格をしていて、そんな彼女とは意気投合するのに時間はかからなかった。
家庭科部の活動を終えた私たちは、まだまだ話し足りなくて、近くのファストフード店へ行くことにした。
下校時刻を過ぎ、閑散とした校舎。グラウンドでは部活の片付けをする生徒たちの声がする。
私はお腹も空き、早く遊びに行きたかったので小走りで教室へと向かう。