リフォーム営業マンの小さなドキドキ短編集 エピソード2

エピソード2『段々綺麗になっていく④』

ファミレスの駐車場に車を停め、店へと向かった。

昼時ということもあり、店内はかなり賑わっていた。

多少待たされたものの、思ったよりスムーズに席に着くことができた。

食事をしながらも、打ち合わせを進める。

商品のこと。

リフォームのこと。

これからのこと。

でも、不思議と仕事というより、少し楽しさの方が勝っていた。

気付けば、打ち合わせの合間にお互いの家庭の不満や子供のことなど、プライベートな話までしていた。

話せば話すほど会話が弾む。

そんな時間は、あっという間に過ぎていった。

食事を終え、吉岡さんの家へ向かう。

車の中でも話は途切れなかった。

そして、気付けばもう到着。

「今日はありがとうございました」

挨拶を済ませ、吉岡さんを見送る。

そのまま俺は事務所へと向かった。

事務所に戻り、今日の打ち合わせ内容を整理する。

パソコンに向かいながらも、どこか今日一日の余韻に浸っていた。

数日後。

約束の日。

見積もりを持参し、約束の時間ぴったりにインターホンを鳴らす。

ピンポーン。

「はーいっ」

明るい声が響く。

玄関が開く。

一瞬では気付かなかった。

でも、すぐに目がいった。

髪が短くなっている。

「あれ?」

思わず口に出た。

「イメチェンしました?」

「うん……前の方が良かった?」

少し不安そうに聞いてくる。

「いや、こっちの方が似合ってますよ」

「ありがとう……嬉しいな」

そう言って笑う。

可愛らしい。

そんな言葉が、ぴったり収まるような流れだった。

俺は見積もりの説明を始めた。

いつも通り、金額や工事内容を一つずつ説明していく。

でも――

また気付いた。

ネイル。

アースグレーをベースに、数本の指先にはダークグリーン。

派手ではない。

でも、ちゃんと存在感がある。

「ネイル……似合ってますね」

思わず口にしてしまった。

少し照れたように笑う。

でも、その笑顔は嘘をつかない。

嬉しそうだった。

その瞬間、ふと思った。

段々、綺麗になっていく。

……いや。

違う。

磨かれてきたんじゃない。

俺が知らなかっただけなんだ。

段々、綺麗になっていく。

そうじゃない。

段々、見せてくれただけなんだ。

女性である吉岡さん自身を。

ただ、思う。

素敵だな、と。

やっぱり女性なら、

ずっと女性でいてほしい。

そんなことを思いながら、俺は見積もりの説明を続けた。

END
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