隣の席の佐竹くんには…
♦︎佐竹side♦︎


結局、午前中いっぱいは周りから女子たちが引くことはなかった。

昼休みになってようやく、人目を避けるようにして屋上へ逃げ込んだ。

「やっと落ち着いた…」

盛大にため息をつくと、ライトは腹を抱えて笑った。

「まさか、こんなに反応良いなんてな!マジですげー!」
「笑い事じゃないんだけど…」
「まぁ、最初だけだって。そのうち慣れるよ」
「慣れるかな…」

自信なく空を見上げるオレに、ライトはしばらく黙ってから口を開いた。

「なぁ、“ミツ”」

懐かしい響きに、肩がわずかに揺れた。

「…その呼び方、久しぶりだね」
「そろそろいいかと思って。もう、だれも“ミツコ”ってイジるヤツなんかいないと思うし。…嫌?」

しばらく空を見たまま、首を横に振った。

「…嫌じゃない」
「そか」

それだけ言って、ライトは隣に腰を下ろした。

風が静かに通り抜けていく。

「ライト」

「ん?」

「ずっと、気ぃ使わせててごめん」

「別に。友達じゃん」

ライトはそれ以上でも以下でもない顔で言い切った。

フッと笑みがこぼれた。

「…ありがとう」

勇気を出して変わった先に、こんな景色があるなんて思わなかった。

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