隣の席の佐竹くんには…
「松野さん、なに?」

「面を着けてください!先生と約束したじゃないですか。女子たちが騒がしくなるからって!」

松野さんが“女子たちが”ってところを、やたらと強調して言った。

絶対、こっちに向かって言ってるよね?

しかし佐竹君は、

「この二人なら静かに見てるだけだし平気だよ。騒いでないでしょ?」

そう松野さんに説明してくれた。

わ…。

めちゃくちゃ嬉しい…。

また、心臓が爆発した。

松野さんは、佐竹君の言葉に一瞬たじろぐ。

「だとしてもっ!この二人だけ特別扱いはできませんよ。説得力がなくなってしまいます」

「…うん」

「と、いうわけですので。今日はもうお帰りください。稽古の邪魔になるので」

「二人ともごめん…。また明日」

申し訳なさそうな顔で佐竹君は持ち場に戻っていく。

続いて松野さんも不満そうな顔をして剣道場へ戻っていった。

「あの松野って子、佐竹君のこと好きっぽくない?」

松野の後ろ姿を見送りながら、ポツリと七恵が呟く。

「ん…。私もなんとなく思った。あの子、敬語使ってたし一年生だよね」

「生意気そうな子だったね。梅、絶対あの子に佐竹を取られちゃダメだからね」

「取られちゃダメって…」

モノじゃないんだから。


でも…あの子は少し厄介そう。



なんとなく、だけど…。

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