隣の席の佐竹くんには…

松野さんはクスリと笑った。

「…なに?」

「あっ。失礼しました。隣の席というだけの関係なんですね」

なにが言いたいの?

余裕の笑みを浮かべた松野さんは、足下に落ちていたボールを拾い上げ、投げてきた。

「あ。ありがとう」

「来週は球技大会ですね。ボールしっかりキャッチできるように頑張ってくださいね。では」

そう言って松野さんはニッコリと笑うと、その場を去っていった。


………な。
なんなの、あの子。

帰り際、小馬鹿にしたように鼻で笑ってたし。

あれ、バカにしてたよね?
一応、こっちは先輩なんですけど?
てゆーか、私何かした?
剣道場に行ったからなの?

じわじわと怒りが込み上げてくる。


…上等じゃないか。


怒りを引きずったまま戻ると、七恵は顔をギョッとさせた。

「えっ、どうしたの?私の投げたボールにイラついてるの?」

「違う。球技大会でかっ飛ばしてやろうと思って。急にやる気出てきたわ」

「よくわかんないけど…その気合いで頑張ろー!」

よし来い!と、七恵が構えるグローブに、ボールを振りかぶって投げた。

が、勢いが足りなくて七恵まで届かない。

それでもみなぎるオーラは衰えることなく、私はボールを投げ続けた。
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