隣の席の佐竹くんには…

「……そうだよ」

真っ直ぐに松野さんを見て静かに答えた。

その問いに、松野さんは残念そうに息をつく。

「なんだか、そんな気はしていました。でも、残念ですが…佐竹さん、梅沢先輩のことは好きじゃないと言ってました」

「……」

「お付き合いする前、梅沢先輩の存在が少し気になっていたもので…。それで聞いてみたんですが…迷いなく、即答していました」

松野さんの言葉が、抱えきれないほどの重みになって胸に落ちる。

想像していたよりもはるかに大きい。


でも、ここで崩れたくない。

「…そうなんだ」

一度、息を整える。


「でも、それって松野さんにとっては良いことなんじゃない?」

「えっ?」

「だって、松野さん一人のことを考えてくれてるって証拠でしょう?」

「そ…そうですね」

松野さんの声が、わずかに揺れた。

< 228 / 319 >

この作品をシェア

pagetop