隣の席の佐竹くんには…
♢♢♢


翌日、いつも通り登校して、いつも通り、心の中でひっそりと佐竹君を待つ。

けど、いつもなら決まった時間に登校してくるはずなのに、今日はまだ姿を現さなかった。

「…あれ?佐竹、まだ来てねーの?」

ギリギリに登校してきた杉本君が、佐竹君の席を見て言った。

「うん。珍しいよね。休みかな?」

「あいつ昨日、想像上で野鳥を調理してたもんな…。松之浦健のことなんか、あんなおっさんどーでもいいとか言ってたし」

「えっ…嘘でしょ」

あの、神のように崇めてた健さんのことを?

その事実に驚いていると、後ろ側のドアからライトが教室に入ってくる姿が見えて、杉本君が「響〜、今日って佐竹休みなん?」と声をかけた。

「あー……うん。ライバル校との試合前でピリついてて、練習もハードらしくてさ。ちょっと体調崩したらしい…」

「最近、お疲れなのはそのせいか。あの剣道部の顧問、厳しいもんなぁ」

「とりあえず、一日休めば大丈夫そうって連絡きたし、明日は来れるんじゃねーのかな」

相当疲れが溜まってたのかな?
真面目に取り組んでる分、心身に負荷がかかるんだろうな。

少しでも佐竹君を支えることができたらいいけど、それは私の役目じゃない。

心配な気持ちと入り混じり、もどかしさを感じていると、ライトが私に、しれっとした顔を向けて言う。

「ってことで、明日あいつが来たら、よろしくな」

えっ…!?

「よ、よろしくって何を…?」

「あいつ、最近笑わねーからさ。梅沢、なんか元気付けてやってよ」

「だからってなんで私…?そういうのは、彼女の仕事でしょ」

…あ。

自分で“彼女”って言い放った言葉にモヤッとした。
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