隣の席の佐竹くんには…
なんで、こうなるんだろう…
脱力感を感じながら、ふと人混みの中に目をやる。
(梅沢さん…今、どこにいるだろう…)
無意識に探している自分に気づいて、苦笑した。
「髪長くしても、モテるようになったな」
隣からライトの声が聞こえてきた。
「嬉しくない…」
「素直に喜べばいいのに」
ニヤニヤと楽しそうなライトに短く返し、視線は無意識に人混みの向こうを探していた。
「誰か探してんの?」
「…や、別に」
そう答えて、意識を客寄せに戻そうとした時、人混みの奥に、見慣れた横顔が見えた。
一瞬で、視界のノイズが消えた。
(あ、いた)
それだけで、妙に力が抜けた。
数分前までの気だるさから、一気に穏やかな感覚が吹き込む。
「ダダ漏れてんじゃねーかよ」
と、苦く笑うライトの呟きには気づかないくらい、視線の先だけに集中していた。