隣の席の佐竹くんには…
◾️松野side◾️


「松野さん、その服似合ってるねー」

「ふふ。ありがとうございます」

お客として来た男子に、微笑み返す。


この衣装にして正解だった。

ただでさえ、佐竹さんはみんなに注目される存在ですから、それに見合った格好をしなければ。

そして明日は、この衣装を着て佐竹さんと校内を歩きまわる。

本当なら、今日も佐竹さんと周りたかった。

でも、それはあえてしなかった。

たまには引いてみることも必要だと気づいたから。

”あれ?どうしたのかな?“と思わせてからの、可愛い衣装でドキッ!

シナジー効果です。


私、今まで焦りすぎていたんですよね…。

これは、佐竹さんの気を引くため。

我慢がまん…

ふぅ…と、息をつき、佐竹さんに会いたい気持ちを抑えこむ。

明日は一般のお客も来る。

この機会に、たくさんの方々に知ってもらい、誰もが認めるカップルだと噂されれば、佐竹さんの自身の気持ちに向き合うきっかけになるはず。

(焦らず、まずは周りを固める)

(そうすれば…佐竹さんも、逃げられなくなる)

よしっ!と、心の中で気合を入れていた時、

「ねー!佐竹先輩のめっちゃ笑ってる顔がキュンすぎて死にそうなんだけど!!」

と、軽部さんの興奮気味な声が教室に響いた。

その言葉が、胸の奥に刺さった。

(笑ってる?……誰と?)

手を止めて数秒固まる。

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