隣の席の佐竹くんには…

第23章 テリトリー

文化祭、最終日。

見慣れない顔が行き交い、途切れない笑い声が校内に響く。

昨日とはまるで違う熱気が押し寄せてきた。

「いらっしゃいませー!」

「こっち空いてます!」

派手な装飾に、仮装した生徒たち。

廊下を歩くだけで、何かに巻き込まれていくような感覚になる。

そして、お化け屋敷の中でも、賑わいの声が響いていた。


暗闇の中でひっそりとお客を待つ。

気配を消して、背後からお客の頬に“呪縛シール”を貼り付ける。

「ぎゃーーー!なんか触ったっっ!!」

悲鳴と共に、お客が逃げるように去っていく。

(私、気配消すの上手いかも…)

なんて、自画自賛してると、さっきから入口付近の薄暗いゾーンからは、対照的な声が響いてくる。

「きゃあー!佐竹くーん!」

喜びの悲鳴。

さっきから、女子のお客しか来ない。

おそらく、佐竹君がお化け役でいると聞きつけて来ているんだろう。


でも…

(喜びの声をあげているのも今のうち…)

ふふふ…と、悪戯な気持ちが湧いてくる。

自分のゾーンに入ってきた女子たちに、気配を消して、呪縛シールを貼り付けて、悲鳴を上げさせた。
< 301 / 342 >

この作品をシェア

pagetop