隣の席の佐竹くんには…
休憩時間、控え室で顔を合わせると、佐竹君がどこか不満げな顔をしていた。

「梅沢さん驚かせるの上手いね。お客さんの悲鳴がずっと聞こえてきてたよ」

「佐竹君もお客さんたち、悲鳴あげてたじゃん」

「いや…なんか違う感じだった」

その地味な悩みに、思わず笑ってしまった。


佐竹君は、お化けの衣装を脱ぐと、はぁ…と息をついた。

(疲れたのかな?)

佐竹君の様子に心配していると、

「佐竹さんいますか?」

控室に、松野さんが顔を出した。

約束していたのだろう、佐竹君は気の乗らない様子で立ち上がった。

パチッと松野さんと目が合う。

途端、松野さんはフッと意地悪そうに笑い、見せつけるように佐竹君の腕に手を添えた。

「佐竹さん、行きましょう」
「……」

無言ではあるが、足を進める佐竹君。

(っ……)

その姿に、思わず視線を逸らした。

松野さんは満足そうに笑みを残すと、佐竹君と教室を出ていった。


控え室にいた数人のクラスメイトが、不審そうにその様子を見ていた。
< 302 / 342 >

この作品をシェア

pagetop