隣の席の佐竹くんには…


オレンジ色だった空は、すっかり群青に変わり始めていた。

そこに目を向けながら、さっき買ったミルクティーを一口飲むと、ちょうど体に馴染むような温度になっていた。

「そういえば、リョウガとはどこで知り合ったの?」

「んー…オレが橋の上でボーッとしてた時に、リョウガ君が声かけてきて」

リョウガならしそうだな。

気になった人がいると、構わず声をかける子だから。

「その時…オレ、ちょっと精神的にきてた時でさ、それで色々と話し聞いてもらったんだよ。自分のこととか梅沢さんのこととか」

「そうだったんだ…」

まさかリョウガが佐竹君の相談相手になっていたとは…。
ちょっと、悔しい。

「でも、まさか梅沢さんの弟だとは思わなかったから、結構…いや、ほぼ全部ぶちまけちゃってる…」

リョウガとのやり取りの事を思い出しているのか、佐竹君の表情が次第に、焦りと恥ずかしさを混ぜたような複雑な色を見せる。

「どうしよう…。オレの事情がリョウガくんに筒抜けだよ。なんか色々なことが恥ずかしすぎる。穴があったら入りたいってこういうことなんだな…」

両手で支えているコップの中に、本当に入りたいのかと思うくらい、恥ずかしそうに顔を俯かせている佐竹君。

公園にある街灯だけではわからないけど、きっと顔は真っ赤に染まっているんだろうな。

(照れている時の佐竹君は、可愛い)


……あぁ、ダメだな。

自分に素直になっている佐竹君の姿を見ると、どうしても『可愛い』と思ってしまう。

佐竹君には、思ったことがあったらちゃんと言ってね、なんて言ったくせに…自分のこの感情は隠そうとしている。

別に、全てを話す必要なんてないんだろうけど…


でも、このまま自分の感情を隠しながら佐竹君と過ごしていくのも、なんか違う気がする…。
< 353 / 358 >

この作品をシェア

pagetop